カントーの市場と水増しガチョウ【カイベー】
カントー(カイベー)の市場を歩く。
カントーは、ホーチミンから車で2時間と少し南下したメコン川のほとりにある街だ。
市場では、フォーやライスペーパーなどの主食をはじめとして、
ジャックフルーツ、ローズアップルなどの果物、メコンの恵みの魚など、
とにかく食生活に必要なもの全てが揃う。
冷凍庫で凍らせる習慣がないそうで、なるべく新鮮なまま、
とくに魚やカニなどは生きたまま売られているものも多い。
売り子は圧倒的に女性が多い。
そんな女性たちに混じって、学校に上がる前の小さな子供もいる。
市場は、子供が育てられる生活の場所という側面も持っているようだ。
そんなカイベー(カントー)のマーケットを歩いていると、思わず笑みが出てくる。
「グゥエッ、グゥエッ、グゥエッ、グゥエッ」
何かの強い鳴き声が聞こえる。
音がする方を振り向くと、白いガチョウがいた。
おばさんがガチョウに、手に持った液体を強制的に飲ませている。
それを嫌がるガチョウが「グゥエッ、グゥエッ」ともがくように鳴いていた。
ガチョウ売りのおばさんは、
500mlペットボトルの飲み口部分を切ったような容器に、
水を入れ、ガチョウに1杯、2杯と飲ませていく。
おばさんは、一通り飲ませ終わると、
ガチョウを、ビニール製の空き袋を再利用したような、慎ましい売り台の上に乗せた。
少しして、ガチョウは、何事もなかったように静かになった。
この日、一緒にカントーを歩いたベトナム人ガイドのフォンさんに聞くと、
「ガチョウは、重さで値段が決まるので、売る直前に水を飲ませて、重くするんですよ」
とのこと!
文字通りの『水増し』である。
その後、水増しを知らない客が、水で太ったガチョウを買う。
ガチョウが売れると、おばさんは、その場でガチョウを絞めてくれる。
しかして客は、下ごしらえされたガチョウを手に持って、
水増しされたことを知らずに帰途につくのである。
カイベーの市場には、売り手と買い手の思惑の交錯した小宇宙があった。























